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花ごころ 平成17年夏号

テーマ:キダチチョウセンアサガオ

英名をエンゼルトランペットと呼ぶように、見るからに怪しげな雰囲気を持つ花ですが、それもそのはず、この仲間にはトロピン系という毒物を含む種類が多く、葉や花、種などの煮汁を飲むと、すばらしい陶酔と幻覚で、天国をさまよえると言われています。1805年、華岡清洲が乳ガン手術に用いた麻酔薬は、1年性のチョウセンアサガオの花(曼荼羅華)から採ったもので、今でも医薬品の原料として重要な位置にあります。
キダチチョウセンアサガオは、朝鮮が原産というわけではなく、東南アジアからインドへかけてのグループと中南米に自生するグループの、24種類が知られており、本種は、後者の交配種で、天国を覗けないグループです。花の長さは20cm以上、白の他、薄い桃、黄、橙色などが市場に出回っています。ナス科の軟らかい木質で、5月に地植えすると秋には2m以上にもなり、温室で10℃以上あれば周期的に年3~4回咲かせます。
凍結には耐えられないので屋内で越冬させますが、挿し木で小苗にすると便利です。挿し木は、10~11月頃、充実した枝を15cm程に小切り、葉を除いて挿し、日覆いせず又はごく軽く日覆いします。枝芽を出して3週間もすると根を出すので、1本ずつ小鉢に植えます。地植えの親株を取り込むときは、幹を任意の長さに切り詰め、根土を崩さないよう径30cm程に掘り上げ、鉢かビニル袋に入れ、後に出る枝芽が枯れない程度の乾燥で越冬させます。