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花ごころ 平成18年春号

テーマ:フクジュソウ
神父が選んだ婿のモグラの神を嫌って、結婚を拒んだ女神のクナウは、怒った神父によって、神の世界から追い出され、野に咲く花に変えられてしまいました。それが、アイヌ神話の「福寿草」で、未だにモグラの多く棲む里の野や畑に自生がないのは、そのせいでしょうか。それにしても、洋の東西を問わず、似たような物語があるのは感心させられます。
北海道から九州の山にまで自生があったらしく、弥生人も見ていたはずですが、1712~1715年に大阪の医師、寺島良安が著した図解百科「和漢三才図会」以前の記録は見つからないそうで、よほど限られた地域での自生であったのかもしれません。
しかし、その後長い年月をかけて大衆の趣味栽培するところとなり、江戸末期には、200を超える品種が生まれ、今でも小学館の「園芸植物大辞典」には、現存する品種として、42種が掲載されています。
黄色を主に橙、赤、緑などの花色に、一重から八重、花の大きさや花弁の変化までありますが、変化ものは草勢が弱く、一般的に見られないのが残念です。
キンポウゲ科のフクジュソウ属、根株は太さ2ミリほどの根がびっしりと絡み合った大株で、寄せ植えの鉢は、その根の大部分を切り落としているので、今ある花を咲かせるのがやっとなのです。庭植えには、冬に日当たりがよく、葉が枯れる6月以降は日陰で夏涼しく保てることが理想です。5年ごとぐらいで株分けして植え替えれば、勢いを保つことができます。