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花ごころ 平成23年夏号

テーマ:ハナショウブ
「いずれがあやめ、かきつばた」戦功あった源頼政が、一目ぼれの美女、菖蒲前を賜ることになり、条件として同じ意匠の美女二人を加えた中から選ぶことになったが、目移りがして当人がどれか分からず、困った末に歌道の達人らしく「…いずれあやめと引きぞ煩らふ」と詠んだのが、後に同義の平易な慣用句となったらしいのです。
節句に飾る菖蒲はサトイモ科で全くの別種。紛らわしいので、花菖蒲はあやめと読み替えることが多いが、アヤメとの区別は、垂れ弁が大きく、立ち弁が比較的小さいこと、葉の中心にやや膨らんだ筋があることなどでしょうか。
ハナショウブは、ノハナショウブから改良された純粋のメイドインジャパン。野生しているキショウブは欧州原産の外来種です。
アヤメ園の大敵は茎に食い込むズイムシ、そして根を食い荒らすコガネムシの幼虫。農薬がなかったころ、虫が食い込む時期を見計らって水を張り、幼虫を溺死させる方法がとられました。以後、水中が好きな植物と誤解され、迷惑にも池の中に閉じ込められてしまいました。真夏にひどく乾燥するとき以外は、畑でも水に困ることはありません。
翌年の花芽は秋遅くに偽茎(葉鞘が重なって茎のように見える)の元、芽の中に生まれ、冬を越して春、葉とともに成長します。したがって、秋に健全な成長をした茎のみが花を咲かせるので、植え替えは花後すぐに。次善の策としては、早春、根の動きだす前になります。
※葉鞘(ようしょう)…葉の基部が茎を抱き包むように発達しサヤ状になったもの。