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花ごころ 平成25年冬号

テーマ:クリスマス・ローズ

このテーマにパッとイメージが湧かない方もあると思いますが、欧州では古くからごく普通の宿根草花として親しまれてきたようです。日本でも近年、ホームセンターの花売り場にはこの花の苗がたくさん並ぶようになりましたが、じつは明治17年に衛生局薬草試験園に植えられた記録があり、歴史はあるが「花」として扱われていなかったのです。
属名のヘレボレスはギリシャ語のヘレイン「死なせる」とボーラ「たべもの」の合成語で毒草であることは明らかです。実際には学名ほどの毒はなく、紀元前から下痢や精神錯乱の沈静に使った記録が残されているようです。
いくつかの種類(原種)やその交雑種がありますが、本来のクリスマス・ローズは欧州原産のニゲルという種類で、わずかの保温でクリスマスに咲かせることが出来ます。一方、今ホームセンターで売られている多くは地中海東岸原産のオリエンタリスという種類またはその交配種で、春咲き性で保温しても年末には咲きません。青々とした葉で冬を越し、2月ころから花茎が動き出す耐寒性は驚きですが、どの花色も、もう一つ冴えないのは、花弁と見えるのはガク片で、葉緑素を多量に含むからでしょう。半日陰なら夏も元気です。
病虫害もほとんどないが、真夏に株元を白い菌糸で覆う白絹病にはひとたまりもないので、発見し次第、土ごと処分しましょう。