Newsお知らせ
花ごころ 平成27年夏号

テーマ:リンドウ
根を口にすると強い苦味があり、まるで竜の胆汁のようだと誇張した漢方薬名が竜胆(りんどう)で、そのまま和名になったようです。なお竜胆は健胃剤ですが、現在は別の植物が用いられているようです。
今は見られなくなりましたが、昭和20年代までは県内の平地林、雑木林で木の葉さらいの前にする下草刈りのころにはリンドウが点々と咲いていました。それは別名ササリンドウと呼ばれ、花弁が開いたときはすてきな青紫色ですが、日が陰るとつぼみのように上部を尖らせて閉じてしまい、茶褐色の枯れたような花になる種類です。

日本のように、雨の多い地域で上を向いて咲く植物は非常に少ないものです。花粉はミツバチが好んで集めることで分かるように、主な栄養として20%ほどの糖分を含んでおり、水に会うと浸透圧によりどんどん水を吸収し、ついにはパンクしてしまうのです。花粉を雨や夜露に当てないために発達した自然の賢さです。

日光今市地区や那須町で栽培している切り花は、室内に飾って花が閉じても、そのままの色で観賞できる高山性で早咲きのオヤマリンドウや、亜高山性で品質のよいエゾリンドウの系統です。実生3年目からの切り花、ビニールハウスや露地で出荷期の調節をしています。挿し芽繁殖はササリンドウの仲間にしかできません。