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花ごころ 令和元年夏号

テーマ:トルコギキョウ

 生まれはアメリカ、育ちは日本であるにも関わらず、名前は外来という意味を込めているのか、関係のないトルコの花。おまけにリンドウ科なのにキキョウという名前になっている。なんとも奇妙な存在です。
 原種は、アメリカ南西部からメキシコ、中米にかけて自生しているらしく、範囲が広いことから草丈や紫の花色にも変異がみられるようです。日本への渡来は昭和10年代といわれ、長野県の有志が改良を始めたのですが、花としての魅力と変異に興味をもって、どこから来た何者かも知らずに改良を始めたものか、それとも十分承知の上で、改良の競争相手が生まれないよう、特に変異を探し易い原産地のアメリカに気付かれないよう奇妙な名前をつけていたのか興味のあるところですが、解答の記録は見つかりません。いずれにしても、トルコギキョウは正式な和名になっています。
 私の試作経験は昭和30年代の後半で、既に数品種の種が発売されていましたが、当時の栽培設備と経験不足では、苗の育ち、揃いも極めて悪く切り花生産に使用するには縁遠い存在でした。
 その後の改良の成果は目覚ましく、花色の変化はもちろん日本の気候でも栽培し易くなるなど、すでに世界的な切り花の種類になっています。花壇で見られるほどにはなっていませんが、園芸店にポット苗が出ることもあります。日本の雨と湿度は好まないことを前提に管理してください。